2030年までに肝炎ウイルスを撲滅する。WHO目標のためにロシュができること

WHOは2030年までに、肝炎撲滅という目標を掲げています。治療薬や検査薬の進歩によって、肝炎を取り巻く医療環境は、この10年以内に大きな変化を遂げてきました。ロシュも各種肝炎ウイルスの検査薬を提供し、肝炎の撲滅に力を尽くしています。

マーケティング本部で、肝炎をはじめとする感染症関連の製品導入などを手がける近藤さんに、肝炎の現状やロシュの取り組みを伺いました。

製品の販売戦略をワンストップで担当する

――はじめに、近藤さんのお仕事内容を教えてください。

近藤:ロシュの検査薬は海外で開発が進められているのですが、それを日本の患者さんにどう届けるかを考え、さまざまな取り組みをしています。たとえば、ある疾患の検査薬が日本になく、検査をしたくてもできないという状況にある場合、海外に要望やニーズを伝え、国内へ導入できるようにしています。

ただ、導入したらそこで終わりというわけではありません。販売戦略を考え、製品の価値を高めていくことで、製品が無事に浸透するよう総合的なマネジメントをするのも大切な役割です。テクノロジーの進化に合わせて製品をバージョンアップしたり、最新の情報を医師や検査技師の先生方にインプットしたりしていきます。

――近藤さんはとくに感染症分野の製品にて、そうした業務をリードされていると伺っています。

近藤:はい。肝炎ウイルスや移植関連感染症、性感染症、呼吸器感染症、白血病を引き起こすようなウイルス、エイズなど、さまざまな感染症にまつわる製品を全体的に担当しています。

――7月28日は「世界肝炎デー」ということで、今回は肝炎ウイルスについてのお話を中心に伺っていきたいです。まず、肝炎とはどのような疾患ですか? 

近藤:肝炎とは、肝臓が炎症を引き起こしている状況を指す言葉です。肝臓の細胞が壊れ、肝臓のなかにある酵素が血液中に漏れ出るために、血液検査で炎症反応が見られるようになります。原因の多くは、A型/B型/C型の肝炎ウイルスです。A型は汚染された水や食品、例えば生牡蠣などによって感染するケースもありますが、肝炎全体の大部分を占めるのがC型とB型です。ウイルス量が高い状態で感染状態が続くことで、肝臓の炎症が継続され、肝がんになるリスクが上がります。

――大部分を占めるC型肝炎、B型肝炎とはどのような特徴があるのでしょうか。

近藤:どちらの肝炎も、感染した血液が主たる感染源と言われており、性交渉による感染もあると言われています。以前は分娩時の母子感染もありましたが、妊娠中に検査をするようになってからは、母子感染はほとんどみられません。社会生活のうえで、他人の血液に直接触れることが無ければ、握手や入浴などでの感染はありません。そのためこの先、爆発的に感染者が増えることはなさそうですが、性交渉などによって、ある一定の新規感染が続くと予測されています。

昔は、C型肝炎は治すことが難しいうえ、毎週の通院治療を年単位で続けなければいけない疾患でした。しかし、2014年以降にとてもいい治療薬が多数発売されてからは、状況が一変しました。現在では最短2ヶ月の飲み薬でウイルスが排除でき、ほぼ100%のC型肝炎が治るようになりました。

B型肝炎にも治療薬はありますが、C型肝炎のようにウイルスを身体から取り除くことはできません。そのため、B型肝炎はウイルスの量を抑え、うまくコントロールしながら付き合っていくのが主な治療です。とくに、何かしらの病気の治療で免疫力が弱まるような治療をする場合は、休眠状態であったB型肝炎ウイルスが目を覚まし、重症な肝炎を引き起こすことがあります。検査で過去にB型肝炎ウイルスに感染したことがあると判断された方も、注意を払わなければならないのが大事な点です。

 近藤:A型/B型/C型すべてのウイルス性肝炎に対して検査薬を提供し、診断、経過観察、治療効果のモニタリングなどに使われています。まずは検査薬を使って、患者さんの身体から肝炎ウイルスを見つけ、治療の必要性を診断します。治療を始めたあとは、ちゃんと効果が表れているかどうかをモニタリングします。治療薬そのものは扱っていませんが、病気の状態を把握するうえで必要な検査を網羅的に提供しているのが、ロシュの特徴だといえるでしょう。

ウイルスの型にかかわらず、肝炎は世界的に大きな問題となっている疾患です。世界中でビジネスを展開しているロシュだからこそ、グローバルな観点を持って本当に必要なものを考え、迅速な製品開発を実現しているのです。このロシュの体制は、大きな強みだと思います。

 近藤:肝炎ウイルスに感染している患者さんの、生命予後を良くすることが目標です。いずれのウイルスにしても、検査で早期発見し、すばやく治療に結びつけることが大切です。

ところが、検査で感染が見つかっても、すんなりと治療に進まないケースが少なくないこともわかっています。とくにC型ウイルスは、飲み薬でほとんどの患者さんが完治する時代になっていますが、感染している事が分かっていても何らかの理由で治療されなかったり、後回しになったりするなどして、肝がんまで進行した状態で発見されるケースも少なくありません。そうならないために、まずは疾患や検査のことをもっと多くの方に知ってもらわなければなりません。

近藤:現在は国や学会の動きをしっかりと医療従事者の先生に伝えることを手掛けています。2010年に肝炎対策基本法が施行されて以来、国は芸能人をキャンペーンに起用するなどして、肝炎ウイルス検査の浸透を図ってきました。そのおかげもあって、肝炎の情報は昔と比べ少しずつ、一般の方に正しく認知されてきているように思います。また病院においても、国や学会からの働きかけで、手術前などに行った肝炎検査結果を陽性/陰性問わず患者さんに報告していくという活動が進められています。その活動をさらに広げていくためにも、情報を先生方や検査技師さんたちに改めてお知らせし、理解を深めていただくことが、私たちの大切な仕事だと思っています。また、C型ウイルスの治療薬を持っている会社とともに、官民で取り組む肝炎撲滅プロジェクトの支援にも関わっています。

――最後に、近藤さんがこのお仕事に感じていらっしゃるやりがいを聞かせてください。

近藤:過去数年間を振り返ると、肝がんの発生率は少しずつ下がってきています。医療従事者の方々の力があって成しえた結果ですが、そこに私たちも貢献できたと思うと、こうした数字が見られるのはとてもうれしいことです。WHOは2030年までの目標として、肝炎ウイルスの撲滅を掲げています。日本はC型肝炎ウイルスの撲滅計画がとても順調に進んでおり、この目標もまったくの絵空事ではありません。活動の一つひとつは地道なことばかりですが、患者さんの健康のために、引き続き取り組みを続けていきます。

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