海外の拠点への留学制度「EDO」。ハードルを越えて得たもの

ロシュには、他国の拠点に赴き、そこでの業務に参加する社内中期留学制度「EDO(Express Development Opportunities)」があります。3ヶ月を基本とし、中期的に腰を据えることで、各国のプロジェクトや文化を体感できるプログラムです。2023年2~5月にスイス(バーゼル/ロートクロイツ)のロシュでEDOを経験した泉さんに、参加の経緯や現地での学びを聞きました。

グローバルに貢献し、帰国してからも活かせるコネクションを作りたかった

――もともと、EDOに対してどのような印象を抱いていましたか? 

泉:私はもともと営業をしていたのですが、その頃からいつか海外で働いてみたいと思っていましたし、EDOにもずっと興味を持っていました。言語や文化の違いを感じながら、ともに働くことで、人とのつながりがつくれる。そしてそのコネクションは、きっとその後の業務にも活かせるはずだと感じていました。ただ、現地でしっかりと貢献するためには、相応の英語力が必要です。5年ほど前から英語を使う部署に移り、勉強してビジネスシーンで困ることは減ってきていたものの、海外で長く暮らした経験もなかったため、少々ハードルは高かったように思います。

 

――そんななか、泉さんがスイスでのEDOにアサインされた経緯を教えてください。 

泉:私がいま所属している部署は、国内の市場を分析して、ロシュ日本法人の戦略を立案したり、経営層に提言したりするチームです。上司には海外でビジネスをするチャンスをつかみたいという思いを伝えており、今回EDOでお客様アンケートを取りまとめている部署の募集があった際、私が日本でしてきたデータの分析・可視化といった経験が活かせるだろうと推薦してくれました。

 

――先ほどおっしゃっていた語学や生活などの不安は、どのような準備で乗り越えましたか?

泉:語学や文化の知識を深めるには、社内のさまざまな研修が役立ちました。たとえば、異文化コミュニケーションの研修です。国によって異なる文化や常識を学び、誤解を生まないように対話していくためのロールプレイングなどを実施するのです。日本では文脈や行間を意識して、オブラートに包んだ表現をするけれど、ヨーロッパ文化圏ではそうではない……など、出国するまでに改めて知っておくことができました。

 

また、EDOに参加している間は、もともと日本で担当していた仕事を手放すことになります。それでもメンバーは快く送り出して、私の開けた穴を埋めてくれました。そうした体制を整えてくれるチームにも、とても助けられましたね。

2つの部署で働き、帰国後も活かせる学びを得た

――スイス本社では、どのような業務に取り組んだのですか?

泉:じつは、2つの部署で働かせていただきました。一つ目はロシュグループ全体のお客様サーベイを取りまとめている部署で、二つ目は全世界の競合情報を収集・分析し、戦略を検討していくグローバル・マーケット・インサイトの部署です。

サーベイの部署では、全世界に発信するアンケートの内容を考えたり、収集したデータをどう活かしていくか提案をしたりしました。データの収集プロセスは整っていたけれど、分析手法についてはまだ改善の余地があったのです。売上や利益の情報をアンケート結果と紐づけ、どんなお客様がどんな売上や満足度を持っているのか可視化することで、ビジネスの具体的なパフォーマンスにも変化が見られました。現地のマネージャーから「期待に応えてくれてありがとう」と言っていただいたのも、うれしかったですね。ただ、もっと多くのデータを収集すれば、より踏み込んだ提言ができたかもしれません。これは、今後の宿題です。とはいえ、日本での手法を応用し、グローバルに貢献できたことは、ひとつの成果だと感じています。


――EDOは基本的に、1つの部署に数ヶ月間滞在するプログラムです。本来は泉さんも、そのサーベイの仕事を終えて帰国する予定だったのでしょうか。

泉:そうです。ただ、二つ目にお世話になったグローバル・マーケット・インサイトの業務はもともと日本で担当していた仕事に近く、その部署の方々とは前からやりとりがありました。そのため、サーベイの仕事をしているときから、日本に本社を置くグローバル企業の情報をその部署にインプットしていたのです。そうした姿勢を評価していただいたのか、リーダーと1on1する機会をもらい、「せっかくスイスにいるなら、うちの部署でも仕事をしていかないか?」と誘ってもらいました。そこで、もともとのEDOより滞在期間を一ヶ月延長し、新しい部署に移ることにしたのです。

――二つ目の部署では、どのようなお仕事をされたのですか。

泉:さまざまな日本企業のグローバルでの動きをより深く分析しつつ、日本だけでなくアジアに本社を置く企業にも、その範囲を広げていきました。

――EDOでスイスに滞在しているからこその気づきはありましたか?

泉:スイスにあるさまざまなマーケットや企業の情報にアクセスしやすく、グローバルから届く情報を待つ必要がないのは大きなメリットだと思いました。また、日本はグローバルとのコネクションを強め、お互いにもっと情報を共有できる環境をつくっていかねばならないと、改めて感じました。日本は市場が成熟しており、情報分析や戦略立案でも一定の成果を出せています。そこには自信が持てる一方、それをもっとうまくグローバルへのインプットができたら、より日本市場に合ったサービスや商品を充実させられるだろうと前々から考えていたのです。

――その所感を活かし、帰国後の働き方は変わりましたか?

泉:EDOで築いたスイスのメンバーとのつながりは、日本に戻ってからも活きています。また、二つ目の部署の仕事は帰国後もオンラインで続けているため、その働き方も新しくて面白いですね。今後は、今回つくったコネクションを私だけに留めるのではなく、周囲に広げていきたいと考えています。

また、スイスでは新しいプレゼンの方法も学びました。日本では結論から端的に伝えていくのが一般的ですが、向こうでは物語性を意識した構成や話し方が大切です。プレゼンにストーリーを持たせることで、聞いている側の興味をかきたて、情報がすんなり届く場面もたくさん目にしました。こうしたやり方は、日本でも積極的に取り入れていくつもりです。

ロシュらしい空気は各国共通。その国ならではの長所も、取り入れていきたい

――EDOを通じて、スイスのロシュの空気も感じることができたのではないでしょうか。業務以外で印象的だったことはありますか?

泉:仕事とプライベートに対する考え方です。スイスでは、プライベートが最優先。誰かが定時で帰ったり急に休んだりしても、業務の穴をみんなでカバーできる体制がつねに維持されています。日本でもそうした空気は醸成されてきていますが、まだまだ属人的な仕事が多く、うまくフォローしきれない場面が少なくありません。スイスでは、隣の人がどんな仕事をしているのかを、誰もがある程度認識しているんですね。日本でもそうした工夫を取り入れれば、誰もがワークライフバランスを守りながら働けるようになるかもしれないと、可能性を感じました。

また、質問や意見を言ったとき、否定することなくすべてを受け入れてくれる文化も心地よかったです。ちょっとした意見を投げかけただけで「Great!」などと返してくれるため、自信を持って発言できました。日本ではつい、面と向かって褒め言葉を言うのは照れてしまいますが……これも真似していきたいカルチャーだなと感じています。反対に、チャレンジすることを推奨してくれる空気は、日本法人でもグローバルでも同じ、ロシュらしい文化でした。

 

――最後に、EDOに興味を持つ社員にメッセージをお願いします。

泉:周りの話を聞いていると、EDOに興味があっても「私のスキルではまだ海外で役に立てないから」と手を挙げない人が、たくさんいるように思います。でも私は今回、英語も仕事の能力も充分ではありませんでしたが、勇気を持って参加を決めました。不安は、どこまでいってもつきまとうものです。ある程度の力がついたら腹をくくり、チャレンジしてみてください。きっとたくさんの学びを得られます。

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