子宮頸がん検査の知識が「あまりない」「全くない」と回答した日本人女性は 7 割以上、 APACの8つの国と地域中で最も知識が不足している結果に 女性の健康管理に関する APAC8カ国・地域の意識調査

  • 子宮頸がん検査の「知識がある」と回答した日本の女性は3割未満(26%)、「あまり知識はないと思う(32%)」「全く知識がないと思う(42%)」が全体の7割以上に

  • 学校で教育を受けたトピックス、「子宮や子宮頸がん」については14%、「健康診断に関する情報」は7%にとどまる

ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長 兼 CEO:小笠原 信、以下ロシュ)は、ロシュ診断薬事業部門アジア・パシフィック・リージョン(以下、APAC)が実施した女性の健康や検査に関する意識調査の結果をまとめました。4月9日「子宮の日」にあわせて、その結果を公表いたします。本調査は日本を含むAPACの8つの国と地域で、25歳~50歳の女性3,473名を対象に行いました。

今回の調査で、子宮頸がん検査または検診に関して「知識が豊富だと思う(3%)」「ある程度の知識があると思う(23%)」と回答した日本人の割合は3割を下回り、APACの8つの国と地域中で最も低い結果となりました。女性の健康に関連する検査や臨床検査に関する知識においても、「あまり知識はないと思う」「全く知識はないと思う」という回答がいずれも7割を上回りました。また、日本を対象に、学校で習ったことのある女性の健康に関するトピックを聞いた結果、「子宮や子宮頸がん」は14%、「健康診断に関する情報」は7%にとどまりました。これまでに子宮頸がんの検査を受けたことがないと回答した日本人女性にその理由を尋ねたところ、「恥ずかしい」「痛みを伴うことが不安」が上位に並んでいます。

日本では、年間約10,000人の女性が子宮頸がんと診断され 1) 、約3,000人が子宮頸がんによって命を落としています2) 。子宮頸がんの原因のほとんどはヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルス感染であることが明らかになっており、世界保健機関(WHO)が掲げるグローバル戦略において、子宮頸がんの根絶にはHPVワクチン接種、定期的な検診と治療が推奨されています3) 。ロシュでは、子宮頸がんのリスクが調べられるHPV検査による検診の普及に力を入れています。また、子宮頸がんに関する知識を深めていただくための「あかずきん.jp」4) やライフステージごとに起こる女性特有の身体の変化や疾患等について解説した「女性のための『かかりつけ医』のススメ」5) を公開しています。ロシュは今後も女性が抱える課題や実態を持続的に調査・把握し、子宮頸がん検診の受診率向上のための啓発活動に取り組んでまいります。

【調査概要】
  • 調査対象:APAC8カ国・地域の25~50歳の女性3,473名

  • 内  訳:シンガポール(351名)タイ(354名)日本(353名)韓国(351名)ベトナム(351名)インド(1,001名)香港(362名)台湾(350名)

  • 調査期間:2024年10月1日~11月1日

  • 調査方法:インターネット調査

【医師の視点から】

今野 良先生(特定非営利活動法人 子宮頸がんを考える市民の会 理事長、自治医科大学名誉教授)

今回の調査によると「子宮頸がんの検診を受けたことがある」と回答した日本の女性は6割を上回る(図表4-1)ものの(6割という数字は高い傾向にあり、回答バイアスが生じている可能性があります)、子宮頸がん検診に関して「知識が豊富だと思う(3%)」「ある程度の知識があると思う(23%)」と回答した割合は全体の3割未満(図表1-1)でした。このことから、正しい知識とともに自信を持って子宮頸がん検診を受けている女性は依然として少数であると推察します。子宮頸がんは原因がウイルス(ヒトパピローマウイルス:HPV)であることが証明されており、HPVワクチンと検診によって予防できるがんです。令和6年度から、がん検診に高感度なHPV検査単独法が導入され、HPV検査陰性(精検不要)と診断された30代から60代の方の受診間隔が5年となり、検診を受ける負担が減りました。このHPV検査について「聞いたことがある」と回答した人の割合はあわせて4割以上(図表2-2)の結果でしたが、検診自体に関する知識が「あまりない」「全くない」と回答した女性は7割以上(図表1-1)であることから、HPVワクチンとHPV検査に関して混同している可能性も考えられます。子宮頸がんはすべての女性が罹患する可能性があり、若い年代から正しい知識と検診習慣を身につけ、予防に努めてほしいと思います。学校教育においては、平成28年からがん対策基本法の下、「子宮頸がんはHPV感染が原因である」ことがカリキュラムに反映され、教えられています。今回の調査対象になった大人にも、さらなる教育・啓発の必要性が痛感されます。多くの女性が正しい知識とともにHPVワクチンとHPV検査による子宮頸がん検診を受け、命を守り、健康な生活を送れることを望みます。

【日本の調査結果のサマリー】
①子宮頸がん検査の「知識がある」と回答した日本の女性は3割を下回り、「あまり知識はないと思う(32%)」「全く知識はないと思う(42%)」が全体の7割以上に
  • 子宮頸がん検査または検診に関して「知識は豊富だと思う(3%)」「ある程度の知識があると思う(23%)」と回答した日本の女性は全体の3割を下回り、APAC8カ国・地域中で最も低い結果に。「あまり知識はないと思う(32%)」「全く知識はないと思う(42%)」が全体の7割以上に(図表1-1)。

  • 女性の健康に関連する検査または検診、ならびに臨床検査または検診に関しても日本の女性は知識不足の割合が高い傾向にあり、「あまり知識はないと思う」「全く知識はないと思う」がいずれも7割を上回った(図表1-2、図表1-3)。

図表1-1
図表1-2
図表1-3
②子宮頸がん検査または検診、女性の健康に関連する検査または検診、および臨床検査や検診について「知識がある」と回答した女性(224名)の34%が「インターネット(医療情報サイトなど)」から知識を得ており、「家族」「学校」は10%未満に。HPV検査が受けられるようになったことを「聞いたことがあり、理解している」と15%が回答
  • 子宮頸がん検査または検診、女性の健康に関連する検査または検診、および臨床検査や検診について、「知識は豊富」または「ある程度の知識があると思う」と回答した女性(224名)にこれらのトピックに関する知識はどのようにして得たか尋ねたところ、「インターネット(医療情報サイトなど)(34%)」「医療従事者/かかりつけ医/産婦人科医(29%)」が上位に並び、「家族」「学校」は10%未満に(図表2-1)。

  • 令和6年4月から、WHOが推奨し厚生労働省が認める子宮頸がんの検査として、HPV検査が受けられるようになったことを「聞いたことがあり、理解している」と15%が回答(図表2-2)。

図表2-1
図表2-2
③学校で教育を受けたトピックスについては「子宮/子宮頸がん」が14%、「健康診断に関する情報」は7%であった。回答者の半数は、学校教育では、「性および生殖に関する健康」について十分な知識が提供され、自分で適切な判断ができるようにしてくれたとは思わないと認識
  • 学校で習った女性の健康に関するトピックについては「月経(75%)」が最も多く、「性教育(47%)」「性感染症(22%)」「子宮や子宮頸がん(14%)」「乳がん(12%)」の順に。「健康診断に関する情報(地方自治体のプログラム)」は7%程度にとどまる(図表3-1)。

  • 「学校教育で性および生殖に関する健康について十分な知識が提供され、自分で適切な判断ができるようにしてくれた」という設問に「全くそう思わない(19%)」「あまりそう思わない(34%)」と回答した日本の女性は全体の半数を超える(図表3-2)。

  • 「健康上の懸念がある場合、最初に相談するのは誰ですか。または、何から情報を得ようとしますか」と尋ねたところ、「医療従事者/かかりつけ医/産婦人科医(32.9%)」「インターネット(医療情報サイトなど)(26.2%)」が上位に(図表3-3)。

図表3-1
図表3-2
図表3-3
④日本人女性の34%が「子宮頸がんの検診を受けたことはなく、予約するつもりもない」と回答。これまでに子宮頸がんの検査を受けたことがないと回答した女性(129名)にその理由を尋ねたところ「恥ずかしい」「痛みを伴うことが不安」が上位に
  • 日本の女性の34%が「子宮頸がんの検診を受けたことはなく、予約するつもりもない」と回答(図表4-1)。

  • これまでに子宮頸がんの検査を受けたことがないと回答した女性(129名)にその理由を尋ねたところ、「恥ずかしい」「痛みを伴うことが不安」が上位に(図表4-2)。

図表4-1
図表4-2

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