脳脊髄液中のβ-アミロイドとリン酸化タウ蛋白を測定する検査薬の製造販売承認申請のお知らせ

ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長 兼 CEO:小笠原 信)は、脳脊髄液(CSF)検体でβ-アミロイド1-42と181位リン酸化タウ蛋白を測定する検査薬「Elecsys β-Amyloid (1-42) CSF Ⅱ」および「Elecsys Phospho Tau(181P)CSF 」の製造販売承認申請を、2024年4月11日に行いました。

「Elecsys β-Amyloid (1-42) CSF Ⅱ」は、脳脊髄液中のβ-アミロイド1-42(Aβ42)を、「Elecsys Phospho Tau(181P)CSF 」は、脳脊髄液中の181位リン酸化タウ蛋白(pTau181)を測定する検査薬です。両製品とも、電気化学発光免疫測定法(ECLIA法)を測定原理とする、当社のコバスシリーズの全自動免疫分析装置を用いて測定を行います。

Aβ42は、アルツハイマー病の発症に関係があると考えられている、脳内で形成されるタンパク質です。通常は短時間で分解、排除されますが、何らかの原因で適切に排除されなかった場合、脳内に蓄積(アミロイド斑、老人斑)します。pTau181は、神経細胞内で見られるタンパク質です。タウ蛋白が過剰にリン酸化され、神経細胞に蓄積することで神経原線維変化を引き起こします。その結果、神経細胞死による脳萎縮によって軽度認知障害や認知症が発症すると考えられています。脳脊髄液中のAβ42とpTau181の比(pTau181/Aβ42比)は、アミロイドPET検査と同等に脳内β-アミロイドの蓄積状況を把握できるバイオマーカ―として有用と考えられています1)2)

2020年における国内の認知症有病者数は約600万人、2025年には約700万人に上昇すると推定されています。また、軽度認知障害(MCI)の患者数は約400万人存在すると推測され、高齢者の5人に1人の割合で認知症を発症する可能性があると言われています3)。超高齢化社会を迎える日本において、認知症の検査の重要性は増しています。

ロシュ・ダイアグノスティックスは、本製品が認知症の診断に貢献できるよう、一日も早い承認取得を目指してまいります。

1)  認知症疾患診療ガイドライン作成委員会編, 日本神経学会監修. 認知症疾患診療ガイドライン 2017, 医学書院, 2017

2)  日本認知症学会, 日本老年精神医学会, 日本神経学会監修. 認知症に関する脳脊髄液・血液バイオマーカーの適正使用指針(第2版), 2023

3)  厚生労働省, 認知症高齢者の将来推計 

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