日本は婦人科の受診経験者の割合が55%と5か国中4位で、初めて婦人科を受診する年齢は20代が最多。受診の理由は、具体的な必要性があれば受診するが、受動的な傾向。
日本では婦人科の受診の必要性がイメージされておらず、「費用がかかる」、「面倒」、「健康に不安がない」などの理由で他国より受診を避ける傾向。
日本は「Webサイト」や「SNS」で婦人科疾患の情報を集める傾向にあり、医師や家族などと症状について話す機会が少ない。
女性特有の疾患には、症状が現れる頃には重篤化している場合や、妊娠を臨んだタイミングで身体に何らかのトラブルを抱えている場合があります。わずかな不調も見逃さないために、定期的な婦人科の受診や検診が大切となりますが、日本では「妊娠してから行く」というイメージや内診への不安から、抵抗を感じる人が少なくありません。また、婦人科の検診率もあまり高くありません1) 。
これらの傾向が日本特有のものなのか、日本と他の先進国の実態を明らかにするため、婦人科の受診に対する意識や条件、疾患の認知度や情報収集の手段等をテーマに、日本を含む5か国でオンライン調査を実施しました。その結果、日本では他国に比べ婦人科の受診に対して受け身の傾向があり、受診のきっかけについて明確なイメージを持っていない可能性があることが見えてきました。このことから、受診の必要性を明確にイメージできる情報提供や、婦人科を身近に感じられる環境づくりが、婦人科の受診率向上に寄与すると考えられます。
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1)厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」
日本は他国に比べ婦人科の受診経験者の割合は高くない。初めて受診した年齢は「20代」が最も多い。受診の理由・きっかけは、「月経のトラブル」や、「妊娠の可能性があるとき」など、具体的な必要性が上位を占めた。婦人科の受診率が最も高いフランスでは、定期的な受診の理由として「自身の健康状態を知るため」「かかりつけ医からのすすめ」などが多く、能動的な意識の高さが見受けられた。
婦人科の受診経験について、フランス、スウェーデンは受診率が7割超以上である。一方、日本は「受診経験なし」が45%に上り、「必要なときのみ受診」が36%、「定期的な受診」は19%にとどまる。(図表1)
婦人科を初めて受診した時期は、日本では「20代」が44%と最も高く、次いで「10代以下」が40%、「30代」は6%だった。イギリス、オーストラリアは日本とほぼ同様の傾向だが、フランスやスウェーデンは「10代以下」がそれぞれ7割弱、6割と突出して高く、若い頃から受診する人が多い。(図表2)
婦人科を受診する理由・きっかけは、日本は「月経のトラブル」が4割弱で最も高く、「健康に不安を感じるとき」が26%、「妊娠の可能性があるとき」が22%で続く。上位の項目は各国でほぼ共通しているが、「ピル処方のため」は日本以外のスコアが高い傾向にある。(図表3)
定期的に婦人科を受診している人の理由として、日本では「治療が必要な疾患がある」、「健康が気になる」といった具体的な理由が上位を占める。イギリス、フランス、オーストラリアでは「かかりつけ医にすすめられた」のほか、「定期的に自身の健康状態を知るため」、「ネットやSNSから重要性を感じた」が高く、特にフランスでは検診や健康に対する能動的な意識の高さが見受けられる。(図表4)
婦人科を定期的に受診しない、または受診しない理由について、日本では「費用がかかる」、「面倒」、「健康に不安がない」という回答が多かった。また、「特に理由はない」も多く、受診の必要性やきっかけについてイメージを出来ていない人が多いと考えられる。
必要な時には婦人科を受診しているが、定期的には受診していない人に対して、その理由を訪ねたところ、日本では「費用がかかる」が3割弱で最も高く、「面倒」、「健康状態に不安がない、必要性を感じない」が続く。他国では、オーストラリアを除き「費用がかかる」は低かった。また日本以外の国では、男性医師に対する抵抗が見られた。(図表5)
婦人科の受診経験が一度もない人の理由においても、日本では「費用がかかる」、「面倒」、「健康状態に不安がない、必要性を感じない」が上位だった。また「特に理由はない」は4割弱と他国に比べて高い。(図表6)
婦人科の受診1回あたりに支払う費用について、日本では「2,000~3,000円未満」(20%)と、「3,000~5,000円未満」(18%)で、計4割弱を占める。フランスは「30~49ユーロ」、「50~69ユーロ」がそれぞれ2割強で日本とあまり変わらない。イギリス、スウェーデン、オーストラリアでは「無料」と回答した人が多く、医療制度の違いが考えられる。
未受診者に対して今後どのような状況であれば婦人科を受診するか尋ねたところ、日本では、「明確な体調不良を感じる」が3割弱で最も高く、「月経の悩みが生じる」、「結婚や妊娠などライフステージの変化」が続く。他国も上位項目はほぼ共通しているが、日本より割合が高い。また、日本では「あてはまるものはない」が4割弱に上り、婦人科の受診の必要性やきっかけが明確にイメージされていないことがうかがえる。(図表7)
経験したことのある婦人科系の症状について情報収集を行う際は、日本では「Webサイト」や「SNS」を参照する割合が高く、「会話」による情報収集は少ない。特に、日本は他国と比べ医師や家族などと症状について話す機会が少ない。また、「情報収集を行わなかった」という回答も多い結果となっている。
経験したことのある症状について、日本では「生理不順」、「貧血」がそれぞれ約3割で上位を占めた。一方、日本以外の4か国では「強い月経痛」が最も高く、いずれも4割を超えていた。(図表8)
経験したことのある症状について情報収集を行う際は、日本は「Web」や「SNS」、「テレビ」の参照が多い。「会話・口コミ」での情報収集は少ない傾向で、症状に関することを医師や家族、友人と話す機会が他国と比べ少ない。「医療機関のWEBサイト」を参照する割合も他国より低い一方、「情報収集を行わなかった」という割合は高い。(図表9)
調査方法:インターネットリサーチ
調査地域:日本、イギリス、フランス、スウェーデン、オーストラリア
調査期間:日本: 2021年12月16日(木) ~ 2021年12月24日(金)
その他の国: 2021年12月28日(火) ~ 2022年1月6日(木)
調査対象者:16 歳~39 歳の女性、各国 500人、計 2500人
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