ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長 兼 CEO:小笠原 信、以下ロシュ)は、血清又は血漿中のp53たん白質に対する自己抗体(抗p53 抗体)を定量的に測定する体外診断用医薬品「エクルーシス試薬 Anti-p53」を12月3日に発売することをお知らせします。本品は、食道がん、大腸がんおよび乳がんの診断補助に使用できます。
「エクルーシス試薬 Anti-p53」は、悪性腫瘍形成の一因とされる変異p53たん白質の細胞内での異常蓄積により血液中に出現する自己抗体(抗p53抗体)を測定する体外診断用医薬品です。電気化学発光免疫測定法(ECLIA法)を測定原理とし、ロシュの全自動免疫検査装置を用いて測定を行い、約18分で結果を表示します。
抗p53 抗体は悪性腫瘍において高い特異性で出現することから、悪性腫瘍の検出に有用であることが報告されています。一方、がんの鑑別補助診断、治療モニタリング、予後予測などにおいては、一般的に、検出感度向上のためCEAやCA19-9、SCCなどの複数の腫瘍マーカーを同時に測定します。抗p53 抗体は、他の腫瘍マーカーと陽性率での重なりが少なく、抗p53 抗体との組み合わせ測定により検出率が向上することが報告されています。1,2
本品の発売により、当社で販売している「エクルーシス試薬 CEAⅡ」、「エクルーシス試薬 CA19-9Ⅱ」、「エクルーシス試薬 SCC」などを使用することで、他の腫瘍マーカーも同時に結果報告することが可能です。ロシュは、今後も臨床的な価値の高い製品を提供することで、検査の効率化に貢献してまいります。
(1)製品名
エクルーシス試薬 Anti-p53
(2)使用目的
血清又は血漿中のp53たん白質に対する自己抗体(抗p53 抗体)の測定
(食道がん、大腸がん及び乳がんの診断の補助)
(3)保険点数
検体検査実施料:163点
(4)対応機種
ロシュが販売する全ての自動免疫検査装置で使用可能
コバス 8000(免疫処理用 e801 モジュール)
コバス 8000(免疫処理用 e602 モジュール)
コバス 6000(免疫処理用 e601 モジュール)
コバス e 411
抗p53抗体は、悪性腫瘍形成の一因とされる変異p53たん白質の細胞核内の異常蓄積により血液中に出現する自己抗体です。正常なp53たん白質は、細胞のがん化を抑制する働きがあることから、p53遺伝子はがん抑制遺伝子とも呼ばれています。しかし、このp53遺伝子に変異や欠損が生じて変異p53たん白質が産生されると、細胞周期への制御機能が失われ、結果として悪性腫瘍の形成に至ると考えられています。p53遺伝子の変異は、食道がんや大腸がん等の固形癌の40%以上の症例で認められています。3
広報(報道関係者向け
参考:
Jpn J Cancer Chemother 39(12):2167-2169,2012
医学検査 60(7): 1043-1049, 2011
モダンメディア 54 巻 8 号 2008[新しい検査法]